朝8時にカーディフのスターバックスでリンダさんと待ち合わせ。はたしてLindaさんはいつもの大きなVanを小さな身体で器用に運転してやってきた。
いまから半年前、何の前触れもなく、ぼくに素敵な出会いが訪れた。
二年前にEikoさんが病床に伏していた時、ある日ある時彼女は突然つぶやいた。
「あなたはまだ若い。何かあっても前を向いて新しい人生を歩んでね。」
もちろんその時はその言葉を理解することも、承諾することもできなかった。そしてひとりになって二年間。ぼくは当然このままひとりで人生を歩んでいくつもりでいた。
そんなぼくの前にひとりの女性が現われた。Nanaさん。フィットネストレーニングを指導するパーソナルトレーナーが彼女の仕事。女性ひとりで独立して20年になるという。
じつはNanaさんとは25年前に会っている。トレーニングジムのスタッフとメンバーとして。それから25年間、一度も会っていなかった彼女と昨年、奇跡的な再会をした。
ぼく達は意気投合。そして現在に至る。これがEikoさんが言っていた新しい人生のはじまりなのかどうかはわからない。でも今のぼくにとって新たな生きがいが生まれたのは確かだった。
10歳ほど年下のNanaさんだけど、いままで結婚もせずひとりで人生をすごしてきた女性だけあって、気持ちが強く、仕事のこともお互いに話せる気の合ったパートナーとなってくれた。
今回のカリフォルニア行きを思い切って誘ったところ、二つ返事で応じてくれた。新しい気持ちでのカリフォルニア行き。不安よりも楽しみという気持ちが強かった。ありがとう、Nanaさん。
さあ、話を戻そう。Lindaさんはぼくらをみつけ、初対面のNanaさんを見つけるなり、彼女をビッグスマイルとビッグハグで包んでくれた。
すべてを知っているLindaさんにはどうしてもNanaさんを紹介したかった。その光景をみてぼくはすべてが正しかったと思った。
Nanaさんとの熱い抱擁が終わると、Lindaさんはぼくをみて笑顔でぼくを見つめ、小さくうなずき、強く抱きしめてくれた。
このアイコンタクトでちょっとセンチメンタルになり、涙が出そうになった。ハグが終わってまたぼくの顔を見て笑顔をくれた。これでもう言葉はいらない。
サーフィンをしたことがないNanaさんだけど、今日はDanの指導のもと初サーフィンに挑戦する。
そこから5分のところにサーフポイントのPipesがある。3人が到着すると同時にDanがAbiとBruceを連れてやってきた。そしてSlide Hangerのオーナー:Philも合流。
サーフィンビジネスはまずは一緒にサーフィンしてからが大原則。波のサイズば腹~胸。Nanaさんの初サーフィンとしてはちょっと波が大きいかな?とにかくDanはサーフィングスクールを生業としているので彼に任せよう。
DanとNanaさん、ぼくとLindaさんでビーチに下りる。心配そうにNanaさんをみていると、Lindaさんが「Hiroは私たちと一緒にサーフィンしましょ。Nanaと一緒に入ったらだめよ。」Nanaさん本人の気が散るからあなたは別のところでサーフィンしなさいということだ。
予想を覆す良い波だ。ぼくはLindaさんとPhil、そしてPipesのベテランロコ達と良い波をシェアして楽しんだ。
遠くでNanaさんも一所懸命に波に乗ろうとしている。時間が経つごとにNanaさんのパドリングの姿勢が良くなっていくのがわかる。さすがパーソナルトレーナー。そして終盤には何本かテイクオフをクリアし、スタンドアップを繰り返す。それを見ていると、とても微笑ましい。
我慢しきれなくなってぼくはNanaさんが練習しているところへパドルで移動。そしてDanとNanaさんと三人でサーフィン。彼女にもいい体験になったことだろう。
サーフアウトした後、Lindaさんとは一度ここで別れ、ぼくとDanは新しいブランドとのミーティングへ。NanaさんとAbi達は家へ戻った。
さすがサーフタウン:エンシニータスだけあって、発想の素晴らしいブランドだった。それと同時にDanの多様な人脈に感心。来春をメドに話を進行させていくことで合意して社長のDougと別れる。こうしてぼくはみんなに助けられて生きていることを実感。
一度Danの家に戻り、NanaさんとぼくはLindaさんと再び合流。ソラナビーチのプロムナードを散策し、新しくできたCaféで三人でランチをとる。三人でとりとめのない話をして笑いあった。そこには確かに今までにない空気が流れていた。
ランチの後はAaron Changのギャラリーへ。Aaronは不在だったものの、スタッフのキャサリンが再会を喜んでくれた。そしてぼくはあたらしいアートを3枚買い求めた。そしてショッピングストリートをしばし散策。さあLindaさんとお別れに時間だ。ありがとう、Lindaさん。
ぼく達はカールスバッドのアウトレットへ。その後新しいショッピングモールにも足をのばす。LULU LEMONやJ.Crewで買い物を済ませたぼく達は、カーディフのスーパーマーケットで夕食の買い出しをした。
Dan宅に到着したのは7時近かった。食材をリビングのテーブルに広げ、5人でカジュアルな夕食を。来年にはこの家のバックヤードにアパートメントハウスを建てて、ゲストをもてなすようにすると言う。どんどん進化するDan。さあ明日はサンオノフレからスタートだ。