California Trip Report

ベッドから身体を起こし、部屋のカーテンを開ける。どんよりした午前5時。手早く身支度。LAX周辺の渋滞に巻き込まれる前にサンタモニカエリアにたどり着きたい。

今日はDave Sweetさんのパドルアウト・セレモニー。マリブの少し北にあるプライベートビーチのパラダイス・コーブで行なわれる。オープニングタイムの8時前に到着。今回のトリップのスケジュールを変更してでも来たかったセレモニーだ。

1999年に日本でDave Sweet Surfboardsを販売することを許してくれたDaveさん。EikoさんとDaveさんに会いに行った日を思い出す。

「Hiro、この家からはマリブ、トパンガ、サンセットの波が一度にチェックできるんだよ。さあ見てごらん。」

決してモダンな造りの家ではないが、木造の素晴らしい建物だった。

Father of Foam。サーフボードビルダーなら誰もがその恩恵を受けることとなる礎を築いたサーファーだ。ホビー・アルダーよりもゴードン・クラークよりも早くに、その偉業を達成した偉大なる男。

セレモニーが始まった。まずは息子のGreg Sweetがスピーチを始める。子供の頃の話から始まり、偉大な父への思い出を語った。そしてDaveさんに関係する人達が次々とスピーチをする。しかも自ら率先してスピーチ台に立ち、入れ替わり立ち替わり、Daveさんとの関わり合いを話してゆく。

すべての英語は理解できなけど、とても素晴らしいことだと思う。きっと日本なら代表者数人にスピーチをしてもらう形式的なものになるだろう。このようなセレモニーに初めて参加して、本当に故人を偲ぶとはこういうことなのだと感じた。

予定の時間が大幅に押しているが、スピーチしたい人達はまだまだいる。Daveさんの人となりが偲ばれる。スピーチをしている人の傍らではGregがギターを弾いて雰囲気を盛り上げる。僕もスピーチできるように話を考えてくればよかったと悔やんだ。

会場の中央では終始カメラクルーが撮影して、上空ではドローンが飛び回っていた。さあ、Paddle OutのゴーサインがGregの口から発せられた。知らないもの同士だが、挨拶をして声をかけ合い、ウェットスーツに着替え、おのおののお気に入りのDave Sweeを持ち出す。

パドルアウトの前にMy Dave Sweetを立てて記念撮影。そしてGregが先頭を切って海に入りパドルアウト。少ししてから一斉にみんなが後を追うようにパドルアウト。沖合で少しずつ輪になってゆく。完全に輪になったところで隣り同士手をつなぐ。

輪の中央にいるGregがDaveさんの遺灰を取り出し、力一杯空に向けて放つ。すると輪になったみんなが海面の水を空に放り投げる。天国のDaveさんに届けとばかりにバシャバシャと。セレモニーのクライマックス。ぼくはいままでのことと、Eikoさんのセレモニーが重なって頭をめぐり、目頭が少し熱くなってしまった。

そうして儀式は終わり、僕はGregと言葉を交わしその場を後にした。その足でマリブでサーフしようと思ったが、あまり良いコンディションではなかったので、いつもショッピングモールを散策した。それから一気にMAXWAYまで走り、ボードを預かってもらった。ありがとう、Mike。明日の帰国の前に日用品を買うためにショッピングモールに寄る。

すでに午後3時を過ぎ、早めに夕食の買い出しを済ませて、モテルに戻る。ビールを飲みたかったが、その前に帰り支度のパッキングを優先した。そして最後の夜を恒例のSUSHI BOY、タラバガニ、クラムチャウダーで締める。

さあ、明日は最終日。帰国だ。