Heads Surfboards Lab

005 | ZINGER、試す!

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SURFBOARDS

  • SHAPER:川南活
  • Length:8'0""

9月24日(土)4時30分、台風17号が接近の中、鎌倉東側の海岸に到着。 風は北東弱。雨が降ったり止んだり。 Glassy menpita。 サーファーも夏場の狂乱の頃よりもずいぶん減った。 波のサイズは腰。小さいながら台風のうねりが規則的に届いている。

ひとしきり10'2"のロングボードでクルーズしてみる。 このボードを下ろしたころよりも、小さい波にも少しずつ慣れてきて、楽しめるようになってきた。 波質によってはうねりから乗れてしまうのが、この10'2"の最大の武器。 しかしこれに便乗して本数を乗ってしまわないよう、いつも自分に言い聞かせる。

ひとしきり楽しんで、ふと沖のリーフポイントに目を移す。 遠目から見ても朝方よりもサイズアップして、腹〜胸。規則的なブレイクがグーフィーサイドに崩れている。しかしまだこのポイントの本来の姿ではないため、サーファーは1人。 サイズの上がったときのこのポイントでのロングボードディングはご法度のようなので、先にいたサーファーにていねいに挨拶をし、ショートボーダーが入ってきたらすぐに上がる事を告げて、10'2"で5本ほど波に乗る。素晴らしいクォリティの波。

これはZINGERを試す絶好の状況(波、サーファーの人数)だと判断し、急いでクルマに戻り、サーフボードをZINGERにチェンジ。 ときおり雨がZINGERのデッキを濡らし、滑って思うようにワックスアップできない。しかし、はやる気持ちを抑えて、ていねいにワックスを塗る。

ポイントまで最短距離のところからパドルアウト。 腹ばいになった時点で、素人ながらこの時点でロッカー・厚さなどのバランスの良さに安心。パドリングはスムースだ。 ポイントに着き、アウトの端でひとまずブレイクとサーファーを観察。ポイントブレイクだと、どのサーファーがどのレベルのサーフィンをするか、サーファー同士でどのような会話をしているかで、このポイントの力関係がわかる。これをせずにいきなりピークに行って、波を取ったらどんなことになるかは想像にお任せする。

まずはインサイド気味のポジションから腹前後の波にファースト・テイクオフ。 ショルダーがピキッと張ったいい波に、レールをセットする。ロングボードでは味わえないスピーディな瞬間だ。後ろから迫ってくるブレイクとの追っかけっこで、加速性を確かめる。俗にいう横っぱしり。ボトムに降りず、波の美味しいところをアップスダウンで抜けてみる。速い!きっと深く削られたボトムのチャンネルからはジェット噴射のような水流が生まれているのか。

少しずつ、少しずつピークに近づく。それによって質の良い大きなサイズの波にありつける。 目の前にセットが入る。最初に波を観察した時点で、セットは二番目の波と決めていた。ぼくのピークサイドにはサーファーがいないことを確認し、テイクオフの準備に入る。

波の速度に負けないようにパドリング。スタンディングして重力を感じ、ボトムへ。左斜め上にはピキッと張ったショルダーが。 波側に少し重心を寄せ、こころもち後ろ足体重に。波側のレールが徐々に入り、遠心力を感じる。ノーズが遠くのショルダー方向を向くころには重心はニュートラル。

リッピングなんか上手く出来ないので、トップに行く前にチョット後ろ足体重。そしてすぐ前足体重(後ろ足体重の時間が長すぎるとプルアウトしたり、リップから一緒に落っこちるはめになると思う)。まだピキッとしたショルダーがある。波の中腹辺りでターンを試み、トップへ駆け上がる。ボードを充分加速させ、半ば強引に右側にレールをかませ、バックハンドのボトムターンのようにしてから右肩を開く。そして少し後ろ足体重にして左のレールを再度セッティング。アップスダウン。プルアウト。

他のサーファーにはどのように写るかわからないが、この一連が今でもぼくの頭で思い描けるほど、納得できたライディングだった。

今回、ZINGERに乗った感想。一番はスピード。波もスピードが出るポイントブレイクという事もあるが、それを差し引いても余りある体感であった。ディープなチャンネルがどんな役割を果たしたのだろうか。

二番目はターンのスムースさ。これはロッカー、テール形状、ボトム形状、フィン設定などのバランスが良いからだと思う。よくみなさんが「レールがひっかかっちゃった」というが、ぼくもそんな経験は何度もしてきた。しかしZINGERはゼロ、である。

これからいろいろな波でこのZINGERを使う事かと思うと、いまでもワクワクする。今更ながらKatsuさんの卓越したシェーピング技術には脱帽である。今後Katsuさんやフィンを作ってくれた大貫さんにもこのZINGERを乗ってもらう予定である。みんなの驚く顔が楽しみだ。